特別区(とくべつく)は、特別地方公共団体の一種で、市に準ずる基礎的地方公共団体。地方自治法第281条第1項で「都の区」と規定される。政令指定都市に置かれる行政区とは異なり、一つ一つが独立の地方公共団体である。
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特別区は、都の地域内に存在する基礎自治体の一つとして位置づけられている。特別区の制度は、1947年(昭和22年)に公布された地方自治法に定められた。特別区の制度創設当初から現在まで、日本において存在する地方公共団体としての「都」が東京都のみであり、実質的には東京都にある区を指すものとして用いられる。
特別区の制度は、明治時代に定められた区制、市制などの大都市制度を基とする。
特別区は、基本的には基礎的自治体である「市町村」に準ずるものとされ(地方自治法第281条の2第2項・第283条)、「市」の所掌する行政事務に準じた行政権限が付与されている(同法第281条第2項・第283条)。
しかし特別区は、「法律または政令により都が所掌すべきと定めたれた事務」、および、「市町村が処理するものとされている事務のうち、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性及び統一性の確保の観点から当該区域を通じて都が一体的に処理することが必要であると認められる事務」を処理することができない(同法第281条第2項・第281条の2第1項)。
その一方、特別区は政令指定都市・中核市・その他特に政令で指定された相当な規模をもつ市でなければできない行政事務のひとつである、「保健所の設置および運営」を行う責務を有する(地域保険法第5条第1項。保健所政令市参照。)など、所掌する行政事務の一部において、通常の市(町村)とは大きく異なった扱いがなされている。
税制面でも、事務事業の特例に対応した特別の制度が存在する。
この「特別区」制度の特殊性は、太平洋戦争中の昭和18年に、旧東京府と旧東京市が、戦時法令である旧東京都制の施行に伴って合併し、東京都が設置されるに至ったことに起因する(旧東京都制参照。地方自治法における特別区の規定は、この東京都制における区の制度を手直ししたうえで、『都』に置かれる『区』として承継したものであり、同法制定の後幾たびもの改正を経て現在に至っている。
現行の地方自治法における「特別区」は、「普通地方公共団体」である市町村に準ずる存在であり、「基礎的自治体」としての性格を有するものとされてはいるが(地方自治法第281条の2第2項)、他方「旧東京市」としての地位を承継した「東京都」もまた、「特別区」を包括する広域自治体の性格を有するだけでなく(地方自治法第281条第1項前段参照)、限定的ながらも、特別区の存する区域における「基礎的自治体」としての一面を併せ持っている(地方自治法第281条第1項後段参照)。そのため、特別区は自治権限こそ年を経るごとに拡大しているものの、未だ普通地方公共団体としての法的地位を完全に獲得するに至っておらず、いまもなお「東京都制」の影響、つまり「東京都」(=旧東京市)の内部機関としての位置付けを脱しきれていないのである(特別区の制度が、地方自治法において、市町村と同じ第2編(普通地方公共団体)にではなく、普通地方公共団体の機関(財産区や事務組合など)を定める第3編(特別地方公共団体)に規定されているのも、そのためである)。
さらに、法律の要請ではないが、正規職員の採用制度にも他の市(町村)とは大きく異なった特徴がある。東京都の特別区では、正規職員の採用事務のほとんどを、全区からなる一部事務組合である「特別区人事・厚生事務組合」のもとに設置された「特別区人事委員会」で一括して行っている(同委員会実施の採用試験に合格した者につき、各区役所等が面接などを行い、採用者を決定する。この点、国家公務員や国立大学法人等の採用手法と同様である)。
また、行政以外の面でも、特別区と市町村とで異なった扱いをする例がある。社会人野球の都市対抗大会も、23特別区は各チームのホームタウンの特別区の名前ではなく、一律「東京都代表」という形で出場している(その他の市町村はそれぞれのホームタウンの自治体名の代表として参加している)。
1947年に施行された地方自治法では当初、通常の市町村と同様に特別区の区長も公選とされていた。東京都の区においては、1946年9月の東京都制改正によって従来東京都長官が官吏である書記官をもって任命するとしていた区長が区住民によって公選されるものに改められており、それが地方自治法下の特別区の区長にも引き継がれた。しかし1952年の地方自治法改正によって特別区の独立性の制限と都への従属の強化が図られた。区長公選制も廃止されて、区長は区議会が都知事の同意を得て選任することとされた(これを選任制と呼んだ)。
これに関連して、渋谷区長選任贈収賄事件における刑事訴訟において、1963年3月27日最高裁判所大法廷は、特別区は憲法93条2項の地方公共団体として認めることはできないとして、区長の公選制を認めないことが憲法に反しないという判断を示した。
その後、自治権の拡充と独立性の強化を求める区の動きや美濃部都政下の住民運動の活発化、さらに区議会での区長選任が機能しないことが続いたことなどから1974年に地方自治法が改正されて1975年から区長公選制が復活した。
特別区の「区」は英語で ward または city という。また、日本語のローマ字表記そのままに ku と表記する例もある。
「区役所」の英訳としては city office、city hall や、ward office、ward hall などが用いられる。
2007年現在において、東京都の全ての特別区は cityを公式に使用している。これは地方分権運動を推進し市と同等であることを主張するため、また wardという語が英語を母語とする人には「独房」や「病棟」を連想させることが多いこと、などがその背景にある。よって、「区役所」の意味では、「市役所」と同じcity office、city hall(機関としての表記はcity government)などが用いられる。
公式サイトのドメインは www.city.chiyoda.tokyo.jp と多摩地域の市と同じ表記となる。道路標識など公的なものの一部には wardやkuを使用しているものも多いが、これは設置された時期が古いためと考えられる。
因みに、大井競馬にかつて存在した重賞競走、ワード賞は副賞が特別区競馬組合賞であることから制定された。由来は「区」の英語読みだった(正確な発音は「ウォード」のほうが近い)。
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